「ソリューション営業とは具体的にどんな営業なの?」
「従来の営業との違いは?」
「自社の営業スタイルに当てはめるとどういう形になるのか知りたい!」
ソリューション営業について聞いたことがあるものの、詳しいことまでは分からないという方も多いと思います。
ソリューション営業は、顧客の課題を深く理解し、その解決に最適な提案を行う営業スタイルです。
近年、顧客ニーズの多様化や競争の激化により、「モノを売る」だけではなく、顧客にとって本質的な価値を提供する営業手法として注目されています。
本記事では、ソリューション営業を導入したいと考えている方や、営業担当者としてソリューション営業のスキルを磨きたい方に向けて、網羅的かつ専門的に解説しています。
- ソリューション営業の基本的な定義
- ソリューション営業のメリットと課題
- ソリューション営業のプロセス
- ソリューション営業を成功させるためのポイント
- ソリューション営業の成功事例
- ソリューション営業に必要なスキルと研修方法
営業初心者の方でも理解できるように各項目で図解を使いながら解説しています。
ぜひ最後までお読みいただき、自社やご自身の営業活動にお役立てください!
この記事を書いた人

記事の文字数が15,000文字以上ありますので、ブックマークして何度も繰り返しご覧ください。
ソリューション営業とは


ソリューション営業とは、顧客が抱える課題やニーズを深く理解し、それに対して最適な解決策(ソリューション)を提案・提供する営業スタイルのことを指します。


この営業手法は、単に製品やサービスを販売するだけでなく、顧客の業務改善や問題解決、またはビジネスの成果向上を目指すものです。
ソリューション営業の特徴


ソリューション営業の主な特徴は次の4つです。
①顧客課題の把握が中心
- 顧客自身が気付いていない潜在的な課題を明確にし、その解決策を提案する。
- 製品やサービスが顧客にどのような価値をもたらすかを具体的に示す。
②カスタマイズ提案
- 一律の製品やサービスを提供するのではなく、顧客の状況に応じて提案内容を柔軟に調整する。
③長期的な視点
- 単発的な取引ではなく、顧客との信頼関係を構築し、継続的な取引を目指す。
④成果志向
- 提案したソリューションの導入が、顧客の目標達成や業務効率化などの成果につながることを重視する。
従来の営業との違い(モノ売り営業との違い)
ソリューション営業は、従来の「モノ売り営業」とは大きく異なるアプローチを取ります。



従来の営業を「モノ売り営業」や「御用聞き営業」と言われていたりします。
それぞれの特徴と違いを比較して解説します。


観点 | モノ売り営業 | ソリューション営業 |
---|---|---|
目的 | 製品やサービスを販売することが主目的 | 顧客の課題解決や目標達成を支援することが主目的 |
提案の内容 | 製品の機能や価格を中心に説明 | 課題に応じたカスタマイズされた解決策を提案 |
営業のプロセス | 商品やサービスの説明 → 購入促進 | 顧客の課題ヒアリング → 解決策の提案 → 導入支援 |
ニーズへの対応 | 表面的なニーズ(例:「安い」「便利」)に対応 | 潜在的なニーズ(例:「効率化」「収益向上」)に対応 |
関係性の構築 | 短期的な取引関係 | 長期的なパートナーシップ |
提案の視点 | 自社製品を売る視点 | 顧客の成果を重視する視点 |
- 自社製品やサービスのメリットや機能、価格を強調する。
- 顧客が既に認識している「明確なニーズ」に基づいて提案する。
- 汎用的な製品やサービスを多くの顧客に同じように提案することが多い。
例:スマートフォンの販売店が、「高性能なカメラを搭載した新製品」を単純に紹介するだけで販売を促進する。
- 顧客が認識しているニーズだけでなく、潜在的な課題を探り出し、深く掘り下げて提案を行う。
- 製品の導入だけでなく、その運用方法や活用による成果までを見据えた提案を行う。
- チームでの連携が重視される場合が多く、技術部門やコンサルティング部門と協働することが多い。
例:製造業のクライアントに対して、「生産効率を10%向上させるための機械導入」と「それに伴うプロセス改善」をセットで提案する。
ソリューション営業が求められる背景


ソリューション営業が求められる理由は主に以下の3つです。
- 顧客ニーズの多様化と複雑化
- 商品・サービスの差別化が難しい時代の課題
- コンサルティング型営業へのシフト
それぞれ詳しく解説します。
顧客ニーズの多様化と複雑化


現代の市場では、顧客のニーズが多様化し、複雑化しています。
これにより、従来の営業スタイルでは十分に対応できなくなり、ソリューション営業が重要性を増しています。
主な背景
①個々の顧客が求める価値の違い
顧客は単純に製品やサービスを購入するのではなく、自分の課題や目標を解決する具体的な価値を求めています。
たとえば、同じ製品でも「コスト削減」を目指す顧客と、「業務効率化」を重視する顧客では、求めるソリューションが異なります。
②業界や企業の変化のスピードが加速
テクノロジーの進化や社会的な変化により、企業のビジネス環境は短期間で変化しています。
そのため、顧客の課題も短期間で変化し、柔軟に対応できる営業が求められています。
③顧客自身も課題を把握しきれていない場合がある
顧客は表面的な課題(例:「コストが高い」)を把握していても、根本的な原因(例:「業務フローの非効率性」)を把握できていないことがあります。
ソリューション営業は、これらの潜在的な課題を明確にし、解決策を提案することが求められます。



顧客が求める価値が多様化し、個別対応が求められています。
商品・サービスの差別化が難しい時代の課題


多くの業界で製品やサービスの性能が均質化しており、単純な「モノの差別化」だけでは競争優位を確立するのが困難です。
これがソリューション営業の必要性を高める理由の一つです。
主な背景
①技術進化による均質化
以前は製品やサービスの機能や性能そのものが競争力でしたが、テクノロジーの普及や競争の激化により、同等レベルの製品が市場に溢れるようになりました。
そのため、「製品そのもの」ではなく、「その製品をどう使うか」「どのような成果を生むか」が重要視されています。
②価格競争の限界
製品やサービスの差別化が難しいため、単純な価格競争に陥りやすくなっています。
しかし、価格を下げるだけでは利益率が低下し、企業の持続的成長が難しくなるため、価格以外の価値(例:課題解決力、アフターサポート)が必要です。
③付加価値の提供が必須
商品そのものだけでなく、顧客の業務効率化やコスト削減、収益向上など、具体的な成果を伴う付加価値を提案できることが競争力となります。
顧客ニーズの多様化と複雑化している業界の事例
IT業界 | クラウドサービスはどの企業も提供可能だが、「導入後の業務改善計画」や「データ活用の支援」が差別化ポイント。 |
消費財業界 | 単なる商品の説明ではなく、「消費者がどのように商品を使うと生活が改善されるか」を提案する営業が求められる。 |



モノではなく、成果を提供する営業が競争優位を生んでいます。
コンサルティング型営業へのシフト


ソリューション営業は、従来の「モノ売り」営業から、コンサルティング型営業へのシフトを象徴するものです。
顧客のパートナーとして、深い信頼関係を築く営業スタイルが必要とされています。
主な背景
①顧客の期待の変化
顧客は営業に対して、単なる販売員ではなく、自社のパートナーとしての役割を期待しています。
単純に製品を売るのではなく、課題解決の専門家として、顧客の成長や成功に寄与する営業が求められます。
②提案力の重要性
従来の営業は商品やサービスの説明に留まることが多かったのに対し、ソリューション営業では、顧客の現状を正確に把握し、課題に合った具体的な解決策を提案する力が必要です。
③チームでのアプローチ
コンサルティング型営業では、営業担当者単独ではなく、技術部門やマーケティング部門、さらには外部のパートナー企業との連携が重要となります。
コンサルティング型営業へシフトしている事例
ソフトウェアの導入営業 | 単に製品の機能を説明するのではなく、導入プロセスや運用方法、さらには具体的なKPIを設定して、目標達成に向けたロードマップを提示。 |
不動産業界の営業 | 顧客のライフスタイルや将来の資産計画をヒアリングし、それに基づいた最適な物件選びを提案。 |



顧客のパートナーとして、深い課題解決と提案力が求められています。
ソリューション営業のメリットと課題


ソリューション営業には大きなメリットもありますが、実施するうえでハードルとなる課題もあります。
メリットと課題について整理します。
ソリューション営業のメリット


ソリューション営業には、以下3つのメリットがあります。
- 顧客満足度の向上
- 長期的な取引関係の構築
- 差別化による競争優位性の確立
ソリューション営業は単なる営業活動を超え、顧客と企業双方に持続可能な成長をもたらすアプローチであるため、現代のビジネスにおいて欠かせない手法となっています。
顧客満足度の向上
ソリューション営業は、顧客のニーズや課題を深く理解し、それに応じた解決策を提案するため、顧客満足度の向上につながります。
顧客満足度の向上につながる理由
①顧客の期待を超える提案が可能
顧客は単に製品やサービスを購入するのではなく、自社の課題を解決したり、目標を達成することを望んでいます。
ソリューション営業は、顧客の期待に応えるだけでなく、それを上回る提案を行うことができるため、満足度が高まります。
②顧客のビジネス成功への貢献
ソリューション営業では、顧客の成功を目指した提案が中心となるため、顧客が結果として得られる成果が大きくなり、信頼感が増します。
③きめ細かな対応が可能
顧客一人ひとりの状況に合わせたカスタマイズ提案を行うことで、「自分たちのことをよく理解してくれている」と感じてもらえます。
IT企業がソリューション営業を採用した場合、単にソフトウェアを販売するのではなく、導入プロセスや運用サポート、具体的な改善効果の提案を行うことで、顧客の課題を解決し満足度を高めることができます。
長期的な取引関係の構築
ソリューション営業は、顧客との信頼関係を構築する営業スタイルであり、一度の取引で終わらない長期的なパートナーシップを形成することが可能です。
長期的な取引関係の構築につながる理由
①信頼の獲得
顧客の課題を解決するプロセスを通じて、顧客は営業担当者や企業に対する信頼を深めます。この信頼が、継続的な取引を促します。
②リピート率の向上
ソリューション営業では、課題解決後もアフターサポートや追加提案を行うため、顧客のリピート率が高まります。
③クロスセル・アップセルの可能性
長期的な関係を築くことで、顧客の新たな課題やニーズに対して、別の製品やサービスを提案する機会が増えます。
設備機器を提供する企業がソリューション営業を行う場合、機器導入後も定期的にメンテナンス提案や改善策を提案し、顧客との関係を維持・拡大することができます。
差別化による競争優位性の確立
ソリューション営業は、競合他社との差別化を可能にし、競争の激しい市場で優位性を確立する手段となります。
差別化による競争優位性が確立される理由
①単なる「モノ売り」との差別化
商品の機能や価格だけでは差別化が難しい時代において、課題解決能力や提案力が競争力の源泉となります。
②高い付加価値を提供
顧客に具体的な価値(例:業務効率化、コスト削減、売上向上など)を提供することで、価格競争に巻き込まれにくくなります。
③専門性を活かした市場での地位向上
ソリューション営業を通じて、顧客の課題に応じた深い知識と提案力を発揮することで、自社の専門性をアピールし、業界内でのブランド価値を向上させることができます。
教育関連サービスの企業が、単なる教材の販売ではなく、学校や生徒個別の課題に応じた指導方法や教育プログラムを提供することで、他社との差別化につながります。
ソリューション営業の課題


ソリューション営業には、以下のような課題が存在します。
- 提案プロセスの複雑さ
- 高いスキルと知識の必要性
- チーム連携の重要性
これらの課題を解決するためには、スキル育成や体制の整備、ナレッジの共有が不可欠です。
ソリューション営業は難易度が高い一方で、成功すれば顧客との長期的な関係構築や競争優位性の確立に大きく貢献する手法といえます。



適切な取り組みを行うことで、成功に近づけることが可能です。
提案プロセスの複雑さ
ソリューション営業の本質は、顧客の課題に適した解決策を提案することですが、課題の発見から解決策の提案までのプロセスが複雑であり、難易度が高いのが特徴です。
具体的な課題
①顧客の課題深掘り
顧客自身が課題を正確に把握していない場合が多く、顧客との対話を通じて、潜在的な問題を引き出す能力が必要です。
②提案内容の説得力
提案が抽象的で具体性に欠けると、顧客に十分な納得感を与えられず、採用に至らない可能性があります。
③長期的な視点での提案
短期的な利益だけでなく、顧客のビジネスにとって中長期的に有益な解決策を設計する必要があり、難易度が高まります。
解決策
- 業界知識や市場調査を活用し、課題の本質を見抜く力を養う必要があります。
- 顧客の課題解決における具体的なビジョンや期待される成果を、データや事例を用いて明確に示します。
高いスキルと知識の必要性
ソリューション営業を成功させるためには、営業担当者に幅広いスキルと深い専門知識が求められるため、育成や教育の面で課題が生じます。
具体的な課題
①提案力
顧客の業界動向、ビジネスモデル、課題を理解した上で、具体的かつ実現可能な提案を行うスキルが必要です。
②製品・サービスに関する知識
自社の製品やサービスを深く理解し、顧客にカスタマイズして提案できるだけの知識が求められます。
③コミュニケーション能力
顧客の課題を正確に聞き出す力、複雑な提案内容を分かりやすく伝えるプレゼンテーション能力が必要です。
④継続的な学習の必要性
市場環境や顧客ニーズが変化する中で、営業担当者は最新の知識やスキルを継続的に習得する必要があります。
解決策
- 社内での体系的なトレーニングプログラムの導入。
- OJT(On the Job Training)やメンター制度による実践的なスキル向上のサポート。
- 業界動向や市場分析を学ぶ機会を提供する。
チーム連携の重要性
ソリューション営業は、営業担当者だけで完結するものではなく、社内外のチーム連携が重要です。
しかし、チーム全体での連携をスムーズに進めるには、多くの課題が存在します。
具体的な課題
①部門間の連携の難しさ
営業部門と技術部門、マーケティング部門など、複数の部門が連携する必要があるため、情報共有や役割分担がうまくいかない場合があります。
②ナレッジ共有の不足
過去の成功事例や失敗事例が十分に共有されていないと、同じミスを繰り返したり、効率的な提案ができなくなるリスクがあります。
③責任範囲の曖昧さ
ソリューション営業では、提案から導入、アフターサポートまで複数の担当者が関与するため、誰がどの部分を担当するのかが不明確になる場合があります。
解決策
- 部門間での定期的なミーティングやプロジェクト管理ツールの活用により、情報共有を促進する。
- ナレッジマネジメントシステムを導入し、成功事例やノウハウを全社的に共有する。
- プロジェクトごとにリーダーや役割分担を明確にし、責任の所在を明確化する。
ソリューション営業のプロセス


ソリューション営業は、顧客の課題を深く理解し、それに合った解決策を提案・実行するため、従来の営業スタイルとは異なるプロセスを取ります。
一般的なソリューション営業は6つのステップに分けられます。
- STEP①:顧客の課題を把握する(課題発見フェーズ)
- STEP②:顧客課題を可視化し、整理する(課題の共有)
- STEP③:解決策(ソリューション)の設計
- STEP④:ソリューションの提案(提案フェーズ)
- STEP⑤:ソリューションの実行(導入・実施)
- STEP⑥:成果の測定と関係の継続(フォローアップ)


これらのステップを踏むことで、顧客の課題解決に貢献し、信頼関係を築くことができます。



長期的な顧客とのパートナーシップ形成にもつながる営業スタイルです。
それぞれのステップを詳しく解説してまいります。
STEP①:顧客の課題を把握する(課題発見フェーズ)
顧客が抱える明確な課題だけでなく、潜在的な課題を発見することが第一歩です。
具体的なアクション
①ヒアリングの実施
顧客の現状やビジネス目標、抱えている問題点を詳細に聞き取ります。
顧客が表現しきれていない課題を引き出す質問力が重要です。
②現状分析
顧客の業務プロセスや市場環境をリサーチし、外部要因と内部要因を含めて課題を分析します。
③潜在ニーズの発掘
顧客が自覚している問題(顕在ニーズ)だけでなく、課題の本質に迫ることで、顧客が気付いていない潜在ニーズを明らかにします。
事例:製造業のケース
クライアントに対し、「生産効率を向上させたい」という要望を聞き取った後、現場調査を行い、実は非効率な在庫管理が根本原因であることを発見します。
STEP②:顧客課題を可視化し、整理する(課題の共有)
顧客と課題を共有し、同じ問題意識を持つことで信頼関係を築きます。
具体的なアクション
①課題の具体化
顧客と一緒に課題を整理し、現状と理想のギャップを明確にします。
②課題の優先順位付け
複数の課題がある場合、それぞれの重要度や影響度を評価し、取り組むべき優先順位を顧客と合意します。
ポイント
- 分析結果を図やデータで示し、視覚的にわかりやすくする。
- 客観的なデータを用いることで、顧客の納得感を高める。
STEP③:解決策(ソリューション)の設計
顧客の課題に合った最適な解決策をカスタマイズして提案します。
具体的なアクション
①課題解決に必要な要素を明確化
どのようなプロセスやツールが課題解決に必要なのかを洗い出します。
②自社製品・サービスの組み合わせ
自社の製品やサービスを顧客の課題に合わせて最適に組み合わせ、解決策を設計します。
既存の製品をそのまま提供するのではなく、顧客のニーズに合うようにカスタマイズすることが重要です。
③成果を見据えた計画立案
提案するソリューションの導入後、どのような成果が得られるかを明確にし、期待値を共有します。
事例:IT企業のケース
顧客の業務効率化のためにカスタマイズされたソフトウェアを提案し、運用のトレーニングやアフターサポートも組み込みます。
STEP④:ソリューションの提案(提案フェーズ)
顧客に課題解決のための具体的な提案を行い、採用を促します。
具体的なアクション
①提案書の作成
提案書には、解決策の概要、導入プロセス、期待される効果、費用対効果を記載します。
②価値のプレゼンテーション
ソリューションが顧客にどのような成果や価値をもたらすかを、具体的な事例やデータを用いて説明します。
③懸念点への対応
顧客が持つ疑問や懸念に対して、丁寧に回答し信頼を得ます。
STEP⑤:ソリューションの実行(導入・実施)
提案したソリューションをスムーズに実行し、顧客の課題解決を進めます。
具体的なアクション
①導入計画の策定
導入プロセスを具体的に計画し、顧客と共有します。
②実行支援
顧客がソリューションを実際に使用できるよう、トレーニングやサポートを提供します。
③進捗確認とフィードバック
実行中に課題が発生した場合には迅速に対応し、必要に応じて改善を加えます。
ポイント
ソリューションの導入後も顧客とのコミュニケーションを密に行い、期待通りの成果が出るよう支援します。
STEP⑥:成果の測定と関係の継続(フォローアップ)
ソリューションの効果を確認し、顧客との長期的な関係を築きます。
具体的なアクション
①成果の測定
導入したソリューションが、顧客に具体的な成果をもたらしているかを定量的・定性的に評価します。
②アフターサポート
問題が発生した場合の対応や、継続的な改善提案を行います。
③追加提案の実施
ソリューションの導入後に発見した新たな課題に対して、さらなる解決策を提案します。
事例
CRMシステムを導入した企業のケース | 顧客に対し、使用状況のモニタリングを行い、データ活用のトレーニングを追加で提案します。 |
ソリューション営業を成功させるためのポイント


ソリューション営業は、顧客に深く入り込み、課題解決を重視したアプローチであるため、従来の営業手法よりも高度な戦略と実践が求められます。
ソリューション営業を成功させるために押さえておきたいポイントは以下の3つです。
- 顧客の課題を正確に把握する
- 提案の質を高める
- チームでの連携を強化する
これらの要素を組み合わせることで、顧客満足度を向上させるだけでなく、自社の競争優位性を高めることができます。
順番に解説します。
顧客の課題を正確に把握する
ソリューション営業の第一歩は、顧客が抱える課題やニーズを正確に把握することです。
そのためには、効果的な質問力と顧客インタビューが重要です。
質問力を高める


質問を工夫することで顧客が抱える課題やニーズを引き出すことができます。
①課題を引き出す質問を準備
顧客が直面している課題や、解決したい目標を明確にする質問を用意します。
「現在のプロセスで最も時間がかかっている部分はどこですか?」など具体的な質問をすることで、顧客が自分の課題を整理できるように促します。
②オープン質問とクローズド質問の使い分け
課題を広げるオープン質問(例:「現在の運用で何が最も不便ですか?」)と、答えを明確に絞るクローズド質問(例:「月間〇〇件以上の負担がありますか?」)を組み合わせ、深堀りします。
③傾聴の姿勢
顧客の回答を注意深く聞き、相手が話しやすい雰囲気を作ることが大切です。
感謝や共感を示しながらヒアリングを進めることで、顧客がより多くの情報を提供してくれます。
顧客インタビューの重要性


あらゆる方法を用いて顧客が抱える課題やニーズを発見します。
①現場の声を直接聞く
顧客の課題は、経営者やマネージャーだけでなく、現場スタッフの声からも発見できる場合があります。
現場レベルのインタビューを実施し、実務での具体的な課題を確認することが重要です。
②データと感情の両面を収集
顧客の言葉やデータから課題を分析するだけでなく、「なぜその課題を解決したいのか」という感情や背景を理解することで、より効果的な提案が可能になります。
③継続的なヒアリング
ソリューション営業は一度のヒアリングで終わるものではありません。
顧客の状況や市場環境は変化するため、定期的なヒアリングを実施して課題を見直す必要があります。
提案の質を高める
顧客の課題を把握した後、その課題に適した質の高い提案を行うことで、ソリューション営業の成功率が大きく向上します。
業界知識とトレンドを理解する


顧客の立場で考えることが質の高い提案へと繋がります。
①業界特有の課題に対応
提案内容に説得力を持たせるため、顧客が属する業界のトレンドや課題を事前にリサーチします。
例えば、物流業界なら「人手不足」や「コスト削減」がキーワードになります。
②競合の動向を把握
顧客が競合と比較している可能性が高いため、競合の特徴や弱点を理解しておくことで、より具体的かつ顧客に響く提案が可能になります。
③顧客の立場に立った視点
顧客のビジネスモデルを理解し、その視点から課題解決を提案することで、「自分たちのことを本当に理解してくれている」と感じてもらえます。
顧客にとってのROI(投資対効果)を示す


提案した内容が顧客にとって最適な解決策である理由をあらゆる観点で示していきます。
①具体的な数値を用いた説明
「この提案を導入することで、年間〇〇万円のコスト削減が可能です」といった形で、顧客が得られる成果を具体的な数値で示します。
②導入前後の変化を可視化
提案内容を採用した場合としなかった場合の比較を資料やシミュレーションを通じて見せることで、説得力を高めます。
③中長期的な効果もアピール
ソリューションの価値は、短期的な利益だけでなく、中長期的な成長や競争力強化にも寄与することを強調します。
チームでの連携を強化する
ソリューション営業では、営業担当者だけでなく、社内外のチームと連携して取り組むことが重要です。
営業部門と技術部門の連携


顧客へのサポートはコミュニケーションと技術面の部門を連携していかなければなりません。
①技術的なサポートが必須
ソリューション営業では、顧客の課題解決に技術的な専門知識が必要な場面が多く、営業部門と技術部門の密な連携が欠かせません。
提案段階から技術部門の担当者を巻き込むことで、より具体的で現実的な提案が可能になります。
②役割分担を明確に
営業担当者が顧客と信頼関係を構築し、技術担当者が課題解決の実現可能性を検証するなど、チーム内で役割を明確化することで、無駄を省けます。
社内での情報共有の仕組みづくり


中長期的な観点で社内の仕組みを整えておく必要があります。
新たな問題や課題にぶつかっても、これまでのナレッジやデータが解決のヒントに繋がるからです。
①ナレッジ共有の仕組み
成功事例や失敗事例を共有するための社内ポータルや定例会を設け、他の営業担当者や部門間でノウハウを共有します。
②CRM(顧客管理システム)の活用
顧客情報や過去の提案履歴を一元管理することで、チーム全体で効率的に情報を活用できます。
例えば、顧客の課題や対応履歴を共有しておくと、新しい担当者がすぐに引き継げます。
③コミュニケーションツールの活用
チーム間のスムーズなやり取りを促進するため、チャットツールやプロジェクト管理ツールを活用し、常に情報の透明性を保つことが重要です。
ソリューション営業の成功事例


ソリューション営業の全体像をお伝えしてきましたが、ソリューション営業に取り組むことでどのような成果を実感できるか、イメージしにくい方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで、フュージョンバリューのセールスコンサルティングサービスを受けてくださったクライアント企業様のソリューション営業の成功事例をご紹介します。
海外マーケティング支援会社の事例
海外向けのデジタルマーケティング支援している企業で、自社メディアへ掲載獲得のためアウトバンドコールの業務を外注していました。
思うような成果が出なかったため、弊社へご相談いただき、アウトバンドコールを代行することになりました。
抱えていた課題
掲載承諾は入るものの、「承諾してない」と言われるケースが目立ち、リードの質に悩まされていました。
実施した施策
①ターゲット企業の課題を言語化
ターゲット企業が抱える課題を細分化し、メディア掲載によってどのように課題解決できるのかを言語化しました。
②掲載条件の見直し
自社サービスの受注に繋がる掲載条件を設定し、条件クリアできるようなヒアリング設計を構築しました。
③トークスクリプトの改善
架電先に話を聞いていただくオープニングトークと、自社メディアの興味付けをしたプレゼントーク、掲載承諾をいただくクロージングトークと3部構成で設計しました。
④アウトバンドコールの報酬設計を変更(成果報酬から時給単価へ切り替え)
掲載承諾1件に対する成果報酬の設定で外注依頼をされてましたので、時給単価へ切り替えました。
⑤分析と改善案のご提案
インサイドセールスの最適な仕組みを構築するために、週1のミーティングを実施し、分析結果のフィードバックと改善案のご提案をしました。
施策後の結果
①掲載率アップ
架電した企業数に対して掲載率がアップしました。
掲載率が0.8%でしたが、2か月目には2.1%へ上げることができました。
②掲載獲得単価ダウン
掲載1件あたりの獲得単価を下げることができました。
初月の掲載獲得単価が27,560円でしたが、2か月目には16,200円へ下げることができました。
弊社ご依頼前に実施していた掲載獲得による成果報酬よりも獲得単価が下がりました。
最終的に自社サービスの受注に繋がる流れを設計し、利益が出る適正なリード単価を割り出してKPIを設定しました。
KPI達成向けてPDCAを回し、インサイドセールスの仕組み最適化を実現しています。
講座運営会社の事例
講座の企画運営をしている企業で、自社サービスを提案できる商談化の仕組みを構築したいとのご依頼でした。
長期を見据えた営業で相談される関係性の構築を目指していました。
抱えていた課題
自社で営業のナレッジがなく、どうやって商談化していくのかあまりイメージできていませんでした。
実施した施策
①ターゲット企業の課題を言語化
ターゲット企業が抱える課題を細分化し、メディア掲載によってどのように課題解決できるのかを言語化しました。
②架電チームを立ち上げ
弊社で架電するために架電チームを立ち上げ、アウトバンド架電から商談アポイントを獲得する仕組みを構築しました。
③架電準備
ターゲットを定めてリスト化し、トークスクリプト、商談までの流れを設計。
④商談支援
商談の課題を分析し、研修でヒアリングとクロージングを強化(一部商談に同席)。
施策後の結果
商談アポイントは6か月間で115件を目標にしていましたが、最終的に155件(134.7%)となりました。
受注にならない課題がありましたが、半年経過したタイミングでコンスタントに受注が発生し始めました。
ソリューション営業に必要なスキルと研修方法


ソリューション営業を成功させるためには、顧客の課題を深く理解し、適切な解決策を提案する能力が求められます。
そのために必要なスキルと、それを効果的に習得するための研修方法について解説します。
必要なスキル
ソリューション営業は「顧客理解」、「課題解決」、「知識の応用」という3つの要素が求められます。
そのために習得しておかなければならない主なスキルが次の3つです。
- コミュニケーション能力
- 問題解決力
- 業界知識とテクノロジーへの理解
コミュニケーション能力


ソリューション営業では、顧客との信頼関係を構築し、課題を正確に把握するための高いコミュニケーション能力が必要です。
①ヒアリングスキル
顧客の話を傾聴し、言葉の裏にある本質的なニーズを読み取る力が求められます。
顧客が抱える「コスト削減」の背景にある、非効率なプロセスの改善提案を引き出す。
②プレゼンテーションスキル
解決策を魅力的かつわかりやすく伝える能力も重要です。
顧客に提案の価値を具体的なデータやシミュレーションを使って納得させることがポイントです。
問題解決力


顧客の課題を分析し、適切な解決策を提案するスキルが求められます。
①論理的思考力
問題を整理し、優先順位をつけながら解決策を構築する力が必要です。
問題を「原因」「影響」「対策案」に分解し、最適な提案を行う能力。
②創造性
顧客の課題に対して既存のサービスやプロダクトを超えて、新たな組み合わせやカスタマイズを考える柔軟な発想が必要です。
業界知識とテクノロジーへの理解


提案の説得力を高めるためには、顧客の業界特有の課題や最新トレンドを理解しておくことが欠かせません。
①業界知識
顧客の業界で一般的な課題や成功事例を理解し、それをもとに具体的な提案を行う力が重要です。
製造業であれば「効率化」や「コスト削減」、IT業界であれば「デジタルトランスフォーメーション」など、業界固有のテーマを把握する必要があります。
②テクノロジーの理解
ソリューション営業では、特にデジタルツールや最新技術の知識が強みになります。
クラウドサービス、AI、IoTなどを顧客の課題解決にどう応用できるかを理解しておくことが求められます。
研修方法
ソリューション営業に必要なスキル習得するための主な研修方法は次の2つです。
- 社内でのOJT研修
- 外部研修や資格取得の活用



社内での実践的なOJTと外部研修を組み合わせることと更に効果的です。
継続的なスキルアップと学びの場を提供することで、営業チーム全体のレベルアップを図ることができます。
社内でのOJT研修


実際の営業現場で先輩社員やマネージャーの指導のもと、スキルを身につける方法です。
①ロールプレイング
顧客との会話を模擬的に行う研修方法で、ヒアリングや提案力の向上を図ります。
想定される課題を設定し、それに対する提案を繰り返し練習することで、実戦力を磨きます。
②営業同行
経験豊富な社員の商談に同行し、顧客対応や提案のプロセスを学ぶ。
実際の成功事例や失敗事例を共有することで、現場で活かせる知識を得られます。
③フィードバックセッション
実際の商談後に上司や同僚からフィードバックを受け、改善点を洗い出します。
具体的なアドバイスに基づき、次回の商談に向けて準備を行います。
外部研修の活用


専門知識やスキルを体系的に習得するために、外部のリソースを活用することも効果的です。
①営業スキルに特化した外部セミナー
営業力向上を目的としたセミナーやワークショップに参加することで、最新の営業手法やテクニックを学べます。
「コンサルティング営業」や「プレゼンテーションの技術」に特化した研修があります。
②eラーニングやオンライン研修
移動や時間の制約がある場合には、オンライン研修やeラーニングでスキルアップが可能です。
動画講義やシミュレーションツールを活用して、効率的に学習できます。
ソリューション営業の未来とトレンド


ソリューション営業は、社会やビジネス環境の変化に伴い進化し続けています。
特にDX(デジタルトランスフォーメーション)の進展やAI技術の普及、顧客体験(CX)の重視が、今後の営業スタイルに大きな影響を与えると予想されます。



DXやAIといったテクノロジーの進化と、顧客体験がより重視されていきます。
営業担当者は、データやAIを活用して効率的に顧客ニーズを把握するとともに、顧客との関係を深めるためのパーソナライズ対応やエモーショナルなつながりを強化することが重要です。
これにより、競争が激化する中でも持続的な価値提供が可能となります。
DXと営業の進化(営業プロセスの効率化)
- DXによる営業プロセスの効率化
- 顧客とのコラボレーション型営業
DXによる営業プロセスの効率化


DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展により、営業活動のあらゆるプロセスがデジタル化されています。
CRM(顧客関係管理システム)や営業支援ツール(SFA)を活用することで、以下のような進化が実現しています。
①データベースによる顧客情報の一元管理
顧客の過去の取引履歴や課題情報を即座に参照できるため、個別対応の精度が向上します。
②リモート商談の普及
オンライン会議ツールの活用により、地理的な制約を超えた顧客対応が可能になり、効率性が向上しています。
顧客とのコラボレーション型営業


DXによって、営業担当者は単に「商品を提案する立場」から「課題を共に解決するパートナー」へと役割が変化しています。
- 顧客と共同でシステムをカスタマイズするプロジェクト型営業
- SaaS型サービスの導入における継続的なサポート
AIやデータ活用の可能性
- AIによる営業支援
- データドリブンな営業活動
AIによる営業支援


AI技術の進化により、営業活動の効率化と精度向上が可能になっています。
①予測分析
AIが過去の取引データをもとに、将来の購買意欲や成功確率を予測します。
これにより、営業リソースを優先すべき顧客や商談に集中させることができます。
②チャットボットによる対応強化
顧客からの問い合わせや初期段階の課題ヒアリングをAIチャットボットが行い、営業担当者は本質的な提案に注力できます。
③レコメンデーションエンジン
AIが顧客のニーズに基づき、最適な製品やサービスを提案する仕組みが広がっています。
例えば、顧客が購入した製品の追加オプションや関連商品を提案することでクロスセルやアップセルが可能になります。
データドリブンな営業活動


営業活動において、データの活用が不可欠です。
具体的には以下のような形でデータが活用されています。
①商談の成果分析
過去の成功事例や失敗事例を分析し、再現性の高い営業手法を確立する。
商談で使用した資料やプレゼン内容の反応データをAIが分析し、最適なアプローチ方法を提案していくことができます。
②パーソナライズされた提案
顧客の購買履歴や行動データをもとに、顧客ごとに最適化された提案を行うことで、契約率を高めることができます。
顧客体験(CX)を重視した営業スタイルへの変化
- 顧客中心主義へのシフト
- エモーショナルなつながりの重視
顧客中心主義へのシフト


商品・サービスを売るだけでなく、「顧客にとって最適な体験」を提供することが重要視されています。
①エンドツーエンドのサポート
営業段階から導入後のフォローアップ、さらには継続利用の支援まで、顧客体験全体をデザインする営業が求められます。
②体験価値の提供
製品デモやワークショップ、導入後の成功事例の共有を通じて、顧客に「使う価値」を体感してもらう機会を提供していくことが重要視されています。
エモーショナルなつながりの重視


競争が激化する市場では、顧客との信頼関係や感情的なつながりが差別化のポイントになります。
①パーソナライズされた対応
顧客ごとの状況やニーズに応じた細やかな対応が、顧客満足度の向上につながります。
- 顧客の誕生日や特別なイベントに合わせたメッセージや提案。
②共感力の発揮
顧客の悩みや課題に寄り添い、単なる「取引相手」ではなく「ビジネスパートナー」として信頼されることが重要です。
まとめ


ソリューション営業の全体像について、網羅的かつ専門的にまとめてきました。
ソリューション営業は中長期的な視点を持ちながら実行することで、安定的な営業成果につながり事業を支えてくれる基盤となります。
情報量がかなり多かったため、一読して全てを理解するのは難しいでしょう。
ぜひ本記事をブックマークし、ソリューション営業に困った際に見返していただけると理解が深まるはずです。
なお、フュージョンバリューはソリューションセールスのコンサルティングから代行、社内研修までご支援しております。
ソリューションセールスについて、この記事では紹介し切れていない細かい手法なども用いてお客様の営業改善を実施しています。
- 商談成果があと一歩伸びきらず、行き詰まっている
- 見込み客リストはあるが商談化しない
- そもそも新規リードがない
- ソリューション営業に挑戦したいが、何から始めて良いのかわからない
- 社内のリソースが足りず、営業を思うように進められていない
- 自社で進めている営業が適切な方法なのか不安
- 営業成果が出てない原因が不明で、何をどうしたらいいかわからない
- お問い合わせが入るが、どう進めればいいかわからない
といった悩みに対し、貴社にとって最適なご支援内容を提案し、戦略立案から施策の実行まで伴走いたします。
ソリューション営業にお悩みの企業様はぜひ下記のお問い合わせフォームよりご連絡ください。